「施設型給付費等に係る処遇改善等加算について」(令和7年4月11日付け通知)の別紙様式について
「施設型給付費等に係る処遇改善等加算について」(令和7年4月11日付け通知)(PDF/306KB)
とあわせて、実績報告の様式も示されましたね。
新しい処遇改善加算制度では、制度の簡素化?と銘打たれていますが、同時に、加算要件の運用はこれまでより大変になったのかもしれません。
今回は特に見落としてはいけない「毎月支給要件」について、通知文と様式をもとに解説し、現場での運用方法を整理します。
1.処遇改善加算は3区分に整理
令和7年度からの制度では、従来の処遇改善等加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲが以下の3区分に統一されました。
区分 | 内容 | 対象となる取組 |
---|---|---|
区分1 | 基礎分 | 経験年数等に応じた昇給(基本給の引き上げ) |
区分2 | 賃金改善分 | 昇給以外の賃金引上げ(手当など) |
区分3 | 質の向上分(旧処遇改善加算Ⅲ) | 有資格者の配置や研修受講等による加算 |
2.区分2+区分3に対する「毎月支給要件」
厚生労働省の通知(令和6年4月14日)において、次のような明確な要件が定められています。
区分2及び区分3の加算に係る賃金改善については、当該年度に実際に行われたものである必要があり、
かつ、当該加算見込額の2分の1以上は、毎月の給与の支給として行うこと。
つまり、年末に一括で支給する方法では要件を満たさず、年間を通じて毎月の給与に含めておく必要があるということです。
また、区分3単独でも、「残りの1/2相当額は年度内に一時金等として確実に支給すること」が求められています。
3.なぜ毎月の確認が必要か
支給要件を満たしているかの確認は、年度末の実績報告(様式6別添1)で行われます。
その時点で支給漏れが判明しても、さかのぼっての補填では「毎月支給」の要件を満たせないため、次のようなリスクがあります。
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加算額が全額返還対象になる
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翌年度の加算申請に支障が出る
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職員への説明が困難になる
よって、様式6別添1を提出用に年1回作成するだけでなく、毎月の時点で要件達成状況を把握できる体制が必要になります。
4.実務上の運用ポイント
1.様式6別添1を毎月更新
職員ごとに「区分2+3の見込額」と「実際に支給された額(月別)」を並べて記録する。
2.支給状況の進捗管理
加算見込額の1/2以上が給与で支給されているか、毎月または四半期単位で進捗チェックを行う。
3.給与システムとの連携
Excelやシステムで自動集計できるようにしておくことで、転記ミスや確認漏れを防ぐ。
5.まとめ
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区分2+区分3の加算は、毎月の給与で1/2以上を支給することが要件
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年度末に一括確認では遅く、月次での管理が必要
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給与データと加算見込額をリンクさせ、職員ごとに進捗を把握する体制が求められる
加算制度の適正な運用には、制度理解に加えて、現場の継続的な記録と確認が不可欠です。
このブログでは今後も、制度対応に役立つ運用の工夫や自動化のヒントをご紹介していきますが、自分で制度を追うのもチェックをするのも大変だ、と思ったら遠慮なく弊社にお問い合わせください。
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